しいくのキホン

その6  CITES(サイテス)って何?

★爬虫類や両生類を飼育しようと思って図鑑や飼育書を読んでみて、「CITESって何?」って
思ったことのある人は意外に多いんではないでしょうか?ショップでもいちいち「これはCITES
U類の該当種ですよ」という説明はしない事がほとんどでしょうし、マニアに聞いても「自分で
調べなよ」っていう冷たい返事が返ってくるのがオチ。実はそんなマニアでも、本当はきちんと
理解している人が少ないCITESのこと。本来、爬虫類や両生類を飼ううえでは必ず知って
おかなければいけないことですので、今回はなるべく分かりやすくこのコーナーで説明をして
いきたいと思います。


Q:CITESって何?

A:Convention on International Trade in Endangered Species of wild
fauna and floraの頭文字をとってCITES(サイテス)と呼ばれています。
日本語に訳すと、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する
条約」となりますが、通常日本ではワシントン条約と呼ばれています。
簡単に言うと野生動植物の
輸出入を規制する条約で、対象となる野生動植物
はT・U・V類に分けられ、それぞれ輸出入に関する規制が変わってきます。
具体的な解説は下のイラストを参照してください。

★T類に該当する種は・・・
すでに絶滅する危険性がある生き物。


商業のための輸出入は禁止です。学術的な研究のための輸出入の場合は、輸出国・輸入国
の政府が発行する許可書が必要になります。


★U類に該当する種は・・・
国同士の取り引きを制限しないと、将来、絶滅の危険性が高くなるおそれがある生き物。


輸出入には、輸出国の政府が発行する許可書が必要となる。
なお、輸入の際には経済産業省で事前確認申請という手続きをとらなくてはいけません。


★V類に該当する種は・・・
政府が絶滅のおそれのある自国の生き物を守るために、国際的な協力を求めている生き物。


該当する国からの輸出入には、輸出国の政府が発行する許可書が必要となる。
なお、輸入の際には経済産業省で事前確認申請という手続きをとらなくてはいけません。

Q:どんな爬虫類や両生類が関係してるの?

A:例えばT類の該当種は、


・ガラパゴスゾウガメやオオサンショウウオ属全種、ガビアル、ムカシトカゲ、コモドオオトカゲ、
アルゼンチンボア、オレンジヒキガエルなどなど、、、

爬虫・両生類ではこんな種が 爬虫・両生類以外ではこんな種がT類です
ガラパゴスゾウガメ オオサンショウウオ属 ジャイアントパンダ トキ


A:例えばU類の該当種は、

・スッポンモドキやトゲオアガマ属全種、ニシキヘビ科全種、ヤドクガエル属全種、アホロートル
などなど、、、

爬虫・両生類ではこんな種が 爬虫・両生類以外ではこんな種がU類です
スッポンモドキ トゲオアガマ属 カバ ホホジロザメ


A:例えばV類の該当種は、

・中国におけるクサガメやハナガメ、スペングラーヤマガメ、スッポンなどの他、インドにおける
ラッセルクサリヘビやホンデュラスにおけるチュウベイサンゴヘビなどなど、、、


★詳しくはトラフィックイーストアジアジャパンのHP内にワシントン条約の対象
動植物の一覧が出ていますので、そちらを参考にしていただければ爬虫類と
両生類に限らず、全ての対象種を知ることが出来ます。


↓クリック↓
TRAFFIC Network (トラフィックネットワーク)は、WWF(世界自然保護基金)とIUCN (国際自然保護連合)の自然保護事業であり、そのミッションは国内および国際的法律や協定に基づき、特に動植物にとって有害で違法な野生生物の取引に関して、調査、モニター、報告を通じて、野生生物取引の持続可能な利用の確立を支援することです。

Q:CITES該当種を飼う(買う)ことは犯罪なの?

A:U類とV類の該当種を飼うことは
犯罪ではありませんし、国内で売買する
のも犯罪ではありませんし許可も要りません。あくまでもワシントン条約とは、
国際取引に関する条約です。
T類の該当種を飼うことも国内での売買も、国際取引ではないのでワシントン
条約に違反する行為ではありません。ただ、別の法律
「種の保存法」が関わって
きますので、飼育や国内での売買には環境省による証明書が必要です。
もし、この
証明書を持っていないまま飼育や売買をすることは犯罪です!

※わずかな例外はありますが、通常はCITEST類の生き物は輸入されることがありませんし、
あったとしてもペットショップで販売されることはありません。ただし、もし自分の飼っているペットが
ある日突然CITESTの該当種になったとしたら、なるべく早めに許可を取って下さい。種の保存法
に違反すると一年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。なお、許可をとる際に
そのペットの輸入ルーツを調べることになるのですが、結果として密輸だということがわかった場合
には、そのペットは原産国または輸出国へ送り返されることになります。その費用に関しては、
密輸者へ全額請求がいくようなシステムになっていますので、自分の飼っているペットは「怪しい」
と思っていても臆することなく、申請を行ってみてください。
申請の窓口は財団法人自然環境研究センターとなります。

Q:CITES該当種は密輸されたものが多いの?

A:はい。CITES該当種は非常にたくさん密輸されています。特にペットとして
密輸される生き物は、最終的に日本に来ていることが多いようです。

Q:CITES該当種はなぜ密輸されるの?

A:その理由は主に2つあります。
1つめは、通常ならCITESの輸出許可がおりないものを密輸するという場合。

・CITEST類の生き物は、特別に許可された繁殖施設から輸出されるものでもない限り輸出
許可がおりませんし、CITESU類やV類の生き物でも
輸出割当てというものが決められている
ので、限られた数量しか許可がおりません。そのような、許可がおりない生き物が密輸されると
いうケースです。具体的に、こういった理由で過去に日本に密輸されたことがあったり、現在も
密輸されている種として、CITEST類ではヘサキリクガメやホウシャガメ、エジプトリクガメなど、
CITESU類ではビルマホシガメ、ワニトカゲなどがその例です。また、爬虫類ではありませんが
爬虫類ショップでよく見かけるスローロリスも、輸出割当ての関係から経済産業省が輸入許可
をここ数年出していないにも関わらず、堂々と販売されています。

2つめは、CITESの許可はおりるけれど単純に安いから密輸するという場合。
・海外では非常に安くで爬虫類や両生類が売られていることがよくありますし、実際に野生の
個体を採集することも可能です。CITESの該当種でないならば、そういったものを輸入しても
何ら問題はないのですが、CITESの該当種の場合は輸出国の許可と日本の経済産業省の
許可の両方がおりていなければ、それは明らかに密輸になります。
実際密輸されるものは
U類やV類の生き物が圧倒的に多く
、(店頭で販売される際には許可書なども付かないので)
購入する側からは密輸されたものなのかそうでないのかの判別がつきません。またショップ側
が密輸された生き物だと知りながらそれを仕入れた(購入した)としても、国内に生体が入って
きている以上、国際取引には該当しなくなりますし、「密輸だとは知らなかった」という証言をする
ことによって善意の第三者として扱われ、罪に問われることはありません。非常に悲しいことです
が、CITESの許可がおりないわけではないけれど密輸をした方が安価で手に入る爬虫類や
両生類がたくさんいるために、安易に密輸をする人が大勢います。そして、利潤を追求するために
あえて密輸を黙認しているショップが多数あることも事実です。具体的にはホシガメやオオトカゲ
の仲間、一部のカメレオンやボア・パイソンなどがこういった理由で日本に密輸されています。

Q:密輸についてもっと詳しく教えて!

A:はい。密輸のパターン色々ありますが、比較的多いものとして
CITES該当種
以外の密輸
です。たとえCITESの該当種でなくても、原産国で保護されていたり
生き物の輸出を禁止している国からは、密輸で持ち込まれることがあります
例えばオーストラリアは動植物の輸出入を厳しく規制していることで有名です。
けれど、オーストラリアにしか生息していないマツカサトカゲは、実際にショップ
で販売されているものの半分以上は野生で採集されたもので、つまりそれは
密輸されたものだということになりますね。

※フトアゴヒゲトカゲやオニタマオヤモリなどのように繁殖技術が進んでいるものは、
オーストラリア以外の国から輸入されますが、これは密輸ではありません。


また、密輸ではありませんが、CITES非加盟国から輸入をするという方法で
ホシガメ(インドホシガメ)などは多数が流通していますが、ルーツをたどって
いくと
元々は密輸個体であるということになります。

※CITES非加盟国からの輸入の場合には、当然輸出国の許可は必要ありません。
CITESとは、あくまでも加盟国同士で交わされている条約なのです。

それから、よく「証明書付き」として販売されているCITEST類のなかに、実は
密輸個体が混じっていることもあります。例えば、証明書付きでホウシャガメを
飼育していた人のところで、その個体が死亡したとします。その後、その飼育者
が密輸個体を持っている別の人へ証明書だけを売るとします。結果、
密輸個体
に「証明書」が付いてしまう
ことになるんです。

このように密輸の手段は様々です。

さいごに・・・


★2004年の12月にヘサキリクガメを密輸、販売したとして2人の日本人が逮捕されるという
事件がありました。ヘサキリクガメは世界で最も希少なリクガメとしてマダガスカルの繁殖場で
8頭をもとに162頭まで殖やされていましたが、1996年にそのうちのなんと76頭が盗まれ、
(トラフィックイーストアジアジャパンのHPより引用:2005年2月)その結果日本にたどり着いた
ものが販売されていたのです。この事件についてどう思いますか?

当店でもお客様からの買取りや下取りを行っていますし、その中にはCITESU類のものも
あります。そういったものが元々は密輸個体だったかもしれませんし、国内の輸入卸業者さん
から買った爬虫類の中にはCITES非加盟国を使って輸入された、最初は密輸だった個体が
いたと思います。悲しいことですが、このように知らぬ間に犯罪へ加担していることもあり得ます。

爬虫類や両生類が好きで、それを飼育してみようと考えるのならば、これらの密輸やCITESに
関することを知っておくことも飼育の「キホン」と言えるのではないでしょうか?


   密輸は犯罪です!犯罪行為に加担しないで下さい!!!


★ご意見・ご要望・ご感想はこちらまで。


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