ガラパコラム

第17回目 カックー、カックー、トッケイ。


(2004・6・28)


今回からは、僕が2001年の11月にマレーシアの西側に浮かぶランカウイ島へ旅行へ行ったときに出遭った
爬虫類たちのことを書いていこうと思います。

ランカウイ島は観光地として有名なので、旅行会社のパンフレットなどにはよく名前の出る島です。観光による
収入が主なので、マレーシアも積極的に自然保護を行っているため、のどかな熱帯地方の田舎っぽい雰囲気
は充分に楽しめると思います。また、島内は免税になっているので酒類が異常に安いので、酒飲みには嬉しい
限りです。(マレーシアでは宗教上の理由から酒類だけが飛び抜けて値段が高く、街中のレストランなどでも
ビール1杯500円以上します。ランカウイ島内でも、ホテルのレストランなどでビールを飲むと500円くらい
とられますが、スーパーマーケットなどで買うとビール1本70円くらいだったような気がします。)

僕と妻は島に到着してから食事を済ませた後、ホテルの敷地内を散策し始めました。プールサイドや遊歩道
では、お約束という感じでスキンク科のトカゲ(M.multifasciata・タテスジマブヤだと思います)が日光浴を
していましたが、さすがに日中の炎天下でしかも浜辺近くだと爬虫類はそれくらいしかいません。昼下がりに
なると、大きなサイチョウが木の上で何かをついばんでいるのが見えたので、よ〜く観察してみると木にいる
巨大な白いイモムシを食べていました。僕はイモムシが大嫌いなので鳥肌ものの一瞬でしたが、まあ、そんな
光景を見ることができるのも南国ならではと言った感じでしょうか。さらに日が暮れ始めると、小さなコウモリが
パタパタと飛び回り、街灯の周りには小さなヤモリがチョロチョロと現れはじめます。

砂浜から30mほど離れたところにポツンと建てられたログハウスのような小屋が僕達の部屋だったのですが、
夕飯を終えて部屋に戻ってくると玄関のドアの上に、爬虫類ファンにはお馴染みのトッケイヤモリが登場です。
実は僕は野生のトッケイを見たのはそれが初めてだったのですが、やっぱりトッケイはデカイ!!!爬虫類
ショップで小さなケージに入っているから大きく見えるのだろうと思っていたのですが、広々とした空間で見ても
迫力満点です。なにしろ、30cmくらいのトカゲが壁にへばりついているという光景は、なかなか見れるものでは
ありませんからね。

玄関先での野生のトッケイとの初対面に興奮しましたが、それはまだまだ序の口に過ぎませんでした。深夜に
なって寝る前に、僕はテラスに置いてある椅子に座って夕涼みをしながら歯を磨いていたのですが、ふと目を
上にやると、いるわいるわ、大きなトッケイが3匹くらいの他に、なんとベビーのトッケイも数匹現れています。
さらに、手すりの上にも1匹、床板の隙間からベビーが1匹という感じで、いつの間にか僕はトッケイに囲まれて
いました。特にベビーはバンド模様がハッキリしていて可愛らしく、見ていて飽きません。何回か手で捕まえて
みようかと試みたのですが、あまりにも素早くてとてもではありませんでした。虫取りアミとかがあればなんとか
捕まえられるかもしれませんが、その後に反撃されて噛みつかれるのがオチでしょう。せっかく、人間の生活
空間に頻繁に顔を出してくれるのだから、自然なままの姿を楽しんで下さい。

そして翌日の夜、夕飯の後にホテルの中の遊歩道を歩いていると、何やら聞きなれない鳴き声が・・・。日は
暮れているので鳥ではないのですが、カエルの鳴き声よりはどちらかと言うと鳥に近いような音です。かなり
大きくて高い鳴き声で、「カックー、カックー」と数回ずつ色々な方向から鳴き声は聞こえます。その鳴いている
生物自体を目で確認できるわけではないので、爬虫類に詳しくない人には何の鳴き声だかは分からないと思い
ますが、間違いなくその鳴き声の主はトッケイです。もともと、「トッケイ」という名前自体がその鳴き声に由来
しているそうですし、ヤモリの英名「ゲッコー(Gecko)」も鳴き声をあらわしたものだそうです。いや〜、でも、
トッケイは「トッケイ」とも「ゲッコー」とも鳴いていませんでしたよ。最初の「カッ」はかなり高めの音、次の「クー」
は意外にも低めの音で「カックー」と鳴いていました。実際に飼育していると、なかなか鳴かないのでこの音は
滅多なことでもない限りは野生下でしか聞けない音ですが、東南アジアへ旅行へ行った際には是非この声、
「カックー」を思い出してください。おそらくそういう風に聞こえるはずですよ!(ただ、僕の妻の耳には「ゲッコー」
に聞こえたそうなので、人によっては「トッケイ」とも聞こえるかもしれません。とにかく、ミッキーマウスの声の
ように、おじさんが無理して裏声を使っているような変な声で鳴いています。)

その後も毎晩、僕はトッケイの鳴き声を聞きながら、トッケイに囲まれて、ビールを飲みながら夕涼みをすると
いう、何とも贅沢な時間を楽しみました・・・。


スキンク科のトカゲ(タテスジマブヤ・M.multifasciata?)が日光浴をしています。


部屋の玄関上にいたトッケイ。まだまだ成熟サイズではありませんが、25cmくらいはあります。



−−−このコラムへのご意見、ご要望はこちら−−−

>ガラパコラムのバックナンバーを読む