ガラパコラム

第26回目 しみじみと、サバンナモニター。


(2006・1・22)


ちっぽけな店でなんとか店主をやっております私も、店主の前は普通の爬虫・両生類ファンの一人でした。
あくまでも趣味として楽しんでいたこの世界を本業にしようと思ったのには、やっぱりきっかけになるような
出来事がありまして、今回はその話をしてみたいと思います。

このコラムを読んでいただいている方なら、皆さん大概はご存知だと思いますが一応説明しておきますと、
モニターってのは英語でオオトカゲを意味しています。ワニのいる場所で、その危険なワニを「監視する者」
というのが語源だとか。ちなみにパソコンのモニターと同じ綴りです。そんなモニターのファンの中でも好みの
分かれるところではありますが、私はどことなく不恰好でゴツゴツとした体格のサバンナモニターが大好き
です。そして、初めて飼育したモニターもサバンナモニターでした。うちの近所で購入した時には40cmほど
の若々しいやつだったのですが、あっという間に成長し、飼育開始から2年程度で全長は約90cm、頭の
大きさは握りこぶしよりもひと回り大きく、胴回りなんかはまるで一升瓶くらいの太さになっちゃいました。
しかも運が悪いことにそいつの性格がムチャクチャ荒く、(普通サバンナモニターはおとなしい奴が多いって
ことを最近知りました・・・)掴もうとすると尻尾ではたくは、シューシュー言うは、苦戦の末掴んでも口を
開けて噛み付こうとするし、こっちはワニでも扱うような気分で接してました。ま、そんなやんちゃな奴でも
飼っていると何ともいえない可愛らしさがあって、たまにドタドタと動き回ってる様子なんかを見ると、思わず
ニヤニヤしてしまうほどでした。

ところが冬のある日、そいつの脇腹辺りの皮膚が何となく変な感じにガサガサとしています。空気が乾燥して
いる冬場だから脱皮がうまくできていないんだな〜と思い、何度かぬるま湯のお風呂に入れてみたり、タワシ
で擦ってみたりしたんですが、一向に症状は良くならない。「そのうち治るだろ」とか思って放っておいたら
今度はどんどん皮膚がおかしくなって、表面はガチガチで中はグジュグジュという最悪の状況に。あまりに
ひどいので、御茶ノ水にある爬虫類専門の某動物病院へ連れて行くことにしましたが、脱皮不全だと思い
込んでいた私は、当然病院への電話予約の際にも「うちのサバンナが脱皮不全になっちゃって・・・」なんて
言ってました。でも実際は診察室でK先生が症状を見て開口一番、「ありゃ〜、ひどい火傷だね。」とひとこと。
火傷の原因は、冬になってトカゲ自体が寒くて動けないところへ局所的に高温のスポットライトを照射したため、
暑くなったから涼しいところへ逃げるという行動がとれずに低温火傷を起こしたということが判明。

正直言って恥ずかしかったです。

小学校・中学校・高校と「動物のことならアイツに聞け」と周囲に噂され(?)、唯一合格した美術大学の試験
では魚や爬虫類の絵を描き、大学卒業後に勤めたゲーム会社の最終面接で社長を相手にミドリガメの正しい
飼育方法を延々と喋って採用されたという実績をもつ私は、「爬虫類のことなら何でも知っている」くらいに
過信していたところがありまして、サバンナモニターの火傷に関しても、自分に非は無いと思い込んでいる
からこそ脱皮不全などという間違った診断をしてしまったのです。結局、火傷の原因は自分の飼育環境に
あることがわかり、サバンナモニターへ対して申し訳ないことをしたという気持ちとともに、自分の過信を
しみじみと恥じました。そりゃ、普通に生活していれば爬虫類に詳しい人なんてそうそういませんし、専門の
雑誌や書籍を読んだり、色んなショップに通っていれば、それだけで周囲の人からしてみれば十分なマニア
でしょう。でも、実際に触れてみて経験をしなければ分からないこともたくさんあるんです!

私はこの病院での出来事があってから1年後に会社を辞めて、爬虫類業界への道を進み始めました。
爬虫・両生類のことをもっともっとリアルに知らなければいけないという気持ちが湧き上がってきて、いても
たってもいられなくなったのです。

最終的にそのサバンナモニターは火傷の原因が分かったので、飼育環境を改善し、皮膚の再生促進剤を
処方してもらって傷は完治し、元気になることができました。そして飼育開始から7年後、同じケージに別の
サバンナモニターを同居させていたら、何らかの病気をもらってしまったようで2匹とも突然死亡。最後の
最後まで色々と反省させられるサバンナモニターの飼育でした。



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