ガラパコラム

第29回目 難民レオパ。


(2006・7・26)


ペットとして飼いやすい爬虫類と言えばいろいろいるでしょうが、やはりナンバーワンは誰が何と言おうと
レオパ、つまりレオパードゲッコー、すなわちヒョウモントカゲモドキでしょう!それほど大きくならず、
かといって小さすぎず、紫外線も必要なし、保温にもそれほど気を使わなくていいし、コオロギのような
生き餌のみならずピンクマウスにも餌付くし、たいがいはおとなしくてハンドリング可能だし、何よりも
繁殖が容易なのはポイント高いですね。数年前から極僅かにワイルド個体が出回りはじめましたが、
わざわざ野生から捕獲してこなくても充分にペットとしての需要に応えるだけのCB個体が供給されて
います。これって実は凄いことで、ここまでブリーディングが成功している爬虫・両生類はそれほど多く
ないですから。

さて、こんなにもペットとしての地位を確立したレオパですが、数年前にワイルド個体が出回るようになる
前までは、流通している養殖個体はすべて数十年前にパキスタンから輸入された8匹の個体がルーツに
なっているという有名な話があります。はたしてこの話が真実なのか伝説なのかはさておき(私は絶対
真実だと思っていますが)、読み取れる内容が2点あります。1つめは、レオパはかくも殖えやすいトカゲ
であるよということ。そしてもう1つは、ワイルド個体を入手するのは至難の業でしたよということ・・・。

レオパの原産国はインド西部、パキスタン、アフガニスタンなど。この地域って常に戦争や内紛、テロが
起こっている地域なんですよね。つまり、爬虫類を捕って売ってなんて悠長なことをしている場合じゃ
ないわけですよ。過去に輸入された8個体だって、きっと銃弾や地雷をかいくぐって、やっとこさ捕まえた
ものだったのでしょう。とにかく、そんな理由でペットルートに出回らない爬虫・両生類っていうのは沢山
いるんです。2006年7月現在、外務省の発表する海外安全情報によると、国内の一部に避難勧告が
出ている国は、以下の通り。インド、パキスタン、アフガニスタン、イラク、レバノン、ウガンダ、エチオピア、
エリトリア、コートジボワール、コンゴ民主共和国、ソマリア、リベリア。戦争以外にもテロが多発している
国や地雷の危険などが避難勧告の主な理由です。そして、そんな地域にもやっぱり魅力的な爬虫類が
タップリ生息していて、中には絶滅の危機に瀕しているためワシントン条約で保護されているものも
含まれています。

映画「猿の惑星」の中でも"Ape shall never kill ape"(猿は猿を殺してはならない)の掟が破られて
しまったように、人間が戦争をするのは止められないことなのかも知れませんが、それでも私は戦争に
反対ですね。だって、そこらじゅうで爆発したり燃えたりしてたら、やっぱり爬虫類みたいな小さな命も
多かれ少なかれ死んでいってると思うんですよ。そりゃ許せん!

パキスタンから戦禍を逃れて連れてこられた8匹の難民レオパ。そして今、ショップに出回っている
やつらにも、その難民レオパの血が流れていると考えると、なんとも言えず申し訳ない気持ちになって
きませんか?ブリーディングが成功し、ペットとして定着した彼等でも、きっと遠い故郷の平和を祈って
いるに違いありません。



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